ジャーナリスト常岡浩介氏に対する旅券返納命令に抗議し、撤回を求めます

2月2日、フリージャーナリストの常岡浩介さんがイエメン取材のために羽田空港から飛行機に搭乗しようとしたところ、外務省による旅券返納命令を受け出国を阻まれました。これはジャーナリストの取材活動に対する明白な妨害であり、憲法が保障する海外渡航の自由を侵害するものです。私たちは、外務省の措置は民主主義を支える表現の自由や国民の知る権利への重大な侵害にあたるものだと考えます。

常岡浩介さんは2015年以来内戦状態にあり、民間地域や病院など民間施設への空爆によって多くの民間人が死傷するなど人道危機が広がるイエメンの取材を計画し、2018年12月にイエメン入国ビザを取得して、2019年1月14日に隣国のオマーンから入国しようしましたが拒否されて帰国しました。

常岡さんは取材計画を立てなおし、スーダン経由でイエメンに向かうことにし、スーダンの入国ビザも取得しました。2月2日、出国のために羽田空港に向かいましたが、出国審査場で外務省職員とつなげられた電話で、「旅券返納命令が出ている」と通告を受け、ファックスで「一般旅券返納命令書」を渡されました。
同命令書には、常岡さんがオマーンで入国を拒否されたことをもって、旅券法第13条の「渡航先の国に入ることを認められない者」とみなされ、同第19条が適用され、「旅券の返納を命ずる」とされていました。

河野太郎外務大臣は記者会見で「邦人男性に対し羽田空港で旅券返納命令書を交付した」と事案について認めたものの、詳細や理由は一切明らかにしていません。ある国に入ることが認められなかったからと言って、日本政府が一切の外国渡航を不可能にする旅券返納命令を出すのは通常は考えられません。常岡さんの海外での取材を阻むための措置だと言わざるを得ません。

ジャーナリストに対する旅券返納命令は、2015年2月にフリージャーナリスト杉本祐一さんがシリア取材を計画したことをもって返納命令受けた事件に次いで二回目です。共通しているのはジャーナリストを取材地に向かわせないことを狙って強権的に「予防措置」を執ったことです。これは、憲法21条で保障された表現の自由を侵害し、国民の知る権利を侵すものです。

民主主義を国の根幹とする先進国ではジャーナリストの海外取材を妨害し、出国を禁ずることはありえないことです。さらに、人道支援や研究活動、文化交流などの目的で海外に向かう人に対する統制に繋がることが懸念されます。政府の意にそぐわない活動をするかもしれないという理由で、強権で出国を禁じるなどということを、到底認めるわけにはいきません。

私たちは、外務省による常岡浩介さんに対する旅券返納命令に強く抗議し、即時、撤回するよう求めます。

2019年2月12日 危険地報道を考えるジャーナリストの会
(世話人)土井敏邦/川上泰徳/石丸次郎/綿井健陽/五十嵐浩司/高橋弘司

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