アミラ・ハス氏とジャーナリストの対話集会を共催します

「危険地報道を考えるジャーナリストの会」はイスラエル人ジャーナリストとしてイスラエル軍によるパレスチナ占領の実態を報道してきた女性ジャーナリスト、アミラ・ハスさんを日本に招いて9月20日に東京で行われる「ジャーナリストとの対話集会」(主催「土井敏邦・パレスチナ記録の会」)を共催します。

「対話集会」は当会の世話人でもあるジャーナリストの土井敏邦氏がパレスチナ問題に関わる研究者、NGO関係者、ジャーナリストらと共に進めている企画「パレスチナ占領50年をアミラ・ハスと考える」の一環です。さらに企画は1967年の第3次中東戦争で始まるイスラエル軍によるヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザの占領から50年を検証するための「パレスチナ占領50年」イベントの中心的企画という位置づけです。

「パレスチナ問題」は、激動するシリア内戦やイラク情勢の陰に隠れて、日本ではほとんど報道されなくなりました。しかし、紛争が続く中東の政治的な矛盾の根源がパレスチナ問題にあるという事実はいまも変わりません。ハスさんとの対話を通して、イスラエルによるパレスチナの占領に目を向けることは、中東紛争の原点に向き合う意味を持ちます。

ハスさんはイスラエル有力紙『ハアレツ』記者で、90年代初めから占領地特派員としてガザや西岸から占領問題の報道を続けてきました。イスラエル軍による占領の悲惨な実態を批判的な報道は、国際的には高く評価されています。一方でパレスチナ自治政府や、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに対しても批判的に報道してきました。

ハスさんが活動するパレスチナ占領地は、日本の組織メディアの特派員やフリーのジャーナリストにとっても取材の場であります。ハスさんとの意見交換は、危険地報道での記者の安全の問題とともに、イスラエルとパレスチナという紛争当事者の間で、ジャーナリストはどのような立場と視点で報道するのかという問題性を含んでいます。

ハスさんは来日中に沖縄を訪れ、基地問題を取材します。ジャーナリストとの対話集会は、ハスさんが沖縄取材を終え、東京に戻ってきた後に行われます。50年間、イスラエル軍の支配下にある”パレスチナ”を取材していたイスラエル人記者が、70年以上にわたって米軍基地を抱える “オキナワ”の現状をどのように見るのかも、対話の中でのテーマとなります。
「アミラ・ハスさんとジャーナリストとの対話集会」は以下の内容で行われます。「危険地報道を考えるジャーナリストの会」としても多くのジャーナリストの参加を呼びかけます。

【ジャーナリストはなぜ、なにを、どのように伝えるのか】
―イスラエル人ジャーナリスト、アミラ・ハス氏との対話―

【内容】
◇アミラ・ハス氏・基調講演
「ジャーナリストはなぜ、何を、どう伝えるのか―私のジャーナリスト活動―」(通訳付)
◇「日本人ジャーナリストとしてどう受け止めるか」
金平茂紀氏(TBS「報道特集」キャスター)
◇ハス氏と参加者との質疑応答
(司会・土井敏邦氏)

【日時】2017年9月20日(水) 午後6時~午後9時
【場所】東京都・文京区民センター/3-A会議室(3F)
【参加費】1000円
【主催】「土井敏邦・パレスチナ記録の会」
【共催】「危険地報道を考えるジャーナリストの会」
「アジア学生文化協会」

【アミラ・ハス氏】
1956年、イスラエル生まれ。両親はホロコーストの生存者。有力紙『ハアレツ』の占領地特派員として1993年からガザ地区に、97年からはヨルダン川西岸のラマラ市に住んで、現地から報道し続けているジャーナリスト。2003年「国際ギレルモ・カノ世界報道自由賞」「アンナ・リンド人権賞」など数々の国際賞を受賞している。代表作は『ガザの海水を飲んで』(Drinking the Sea)日本語への訳書は『パレスチナから報告します』(An Israeli Journalist in a Occupied land by Amira Hass/筑摩書房)。

◇関連サイト
土井敏邦HP「アミラ・ハス氏との対話」 doi-toshikuni.net/j/info/20170920.html

-土井敏邦(どい・としくに)